ンセにも使われている。 バランシンは、この音楽を使って、古典的グラン・パ・ド・ドゥ形式を模して「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」として創りあげた(時々は、バランシンのパ・ド・ドゥと呼ばれる時もある)。 「パピヨン」
“Le Papillon”
音楽●J.オッフェンパック/J.Offenbach 原振付●M.タリオー二/M.Taglioni この「パピヨン」=蝶々=は、オペレッタで知られるオッフェンバックの作曲した唯一の大作バレエである。 オッフェンバックは、「ジゼル」の作曲者アダンや、「コッペリア」で知られるドリーブとも親交があり、未完で終わったオペレッタ「麗しのリュレット」は、遺言でドリーブの手で完成されている。 「パピヨン」はマリー・タリオー二の振付、エンマ・リヴリー、ルイ・メラントの主演で、1860年11月26日に、パリ・オペラ座で初演された。 この作品は「ラ・シルフィード」の主演で知られるタリオー二が、愛弟子のリヴリーの為に構想を練り、振付をしたもので、愛らしいリヴリーの魅惑的演技で、非常な人気を呼んだ。エンマ・リヴリーは、その三年後に出演中の火事により悲劇的な死を遂げる。 尚、ロナルド・ハインドの新振付によりヒューストン・バレエ(1979)、サドラーズ・ウェルズ・バレエ(1980)で上演された版もある。 「サイド・ショウ」
“Side Show”
音楽●I.ストラヴィンスキー/I.Stravinsky 振付●ケネス・マクミラン/K.MacMillan 英国で、アシュトンに続く名振付家、マクミランはストラヴィンスキーのピアノ曲によるバレエ「SideShow」を1972年に発表した。 ストラヴィンスキーは、初期の三大バレエ「火の鳥」「ペトルーシカ」「春の祭典」のあと、ピアノの為のやさしい小品として「TroisPiecesFaciles」=3つの易しい小品=を1914年に、「CingPiecesFaciles」=5つの易しい小品=を1916年に作曲している。これはいずれも一台のピアノを二人で連弾するという、いわゆる4手=FourHands=の形で書かれているが、後に、これらの10曲を使って4曲づつの室内オーケストラ用の組曲、第1番、第2番を作曲している。 マクミランは、この愛らしい小品をもとに「SideShow」を振り付けたが、これらが2つの組曲=TowSuites=に基づくといわれているのは、前述のことに起因する。今回は、オリジナルのピアノ連弾の形で上演され、曲順は、1.マーチ、2.アンダンテ、3.ポルカ、4.エスパノーラ、5.ギャロップ、である。 「アポロ」
“APollo”
音楽●I.ストラヴィンスキー/I.Stravinsky 振付●G.パランシン/G.Balanochine この作品は、ストラヴィンスキーにとっても、バランシンにとっても記念すべき作品である。5管編成の大管弦楽が咆哮する「春の祭典」が1913年にディアギレフのロシア・バレエ団で初演された後、ストラヴィンスキーは、正反対の音楽の方向に向かう。台本を自から執筆してストラヴィンスキーは、1927年に弦楽合奏のみのバレエ曲「ミューズの神を導くアポロ」=Apollonmusagete=を作曲する。 そしてこれは、ディアギレフのロシア・バレエ団によって、若き日のバランシンの振付、作曲者自身の指揮、セルジュ・リファールの主演で、1928年、パリで上演された。 アポロの役は、リファールで、テレプシコールの役は、初演はニキチナ、そのあとアレキサンドラ・ダニロワが演じているという、真に歴史的なバレエである。 バランシンはニューヨーク・シティ・バレエ団で数多くのストラヴィンスキーの音楽でバレエ作品を作っているが、この「アポロは」最も愛したものの一つとされ、ニューヨーク・シティ・バレエ団での重要なレパートリーとなっている。 全幕は、アポロの誕生をつげるプロローグにつづいて第一場があり、二人の女神がアポロを迎える。 第二場では、ヴァイオリンの独奏ではじまるアポロのヴァリエーション、パ・ダクション、カリオーぺのヴァリエーション、ポリヒムニアのヴァリエーション、テレプシコールのヴァリエーション、アポロのヴァリエーション、アポロとテレプシコールのパ・ド・ドゥ、コーダとつづき、最後にアポテオーゼで終わる。 ストラヴィンスキーは弦楽合奏でセロを2部に分け、作曲者の指定によれば第1と第2ヴァイオリンを各8名、ヴィオラ6名、第1と第2チェロ各4名、コントラバス4名の合計34名で演奏するよう指定し、約30分かかる。 この曲は、バレエと離れて、演奏会でも取り上げられる、ストラヴィンスキーの中期の傑作であり、又、バランシンの名作品の一つとして長く後世に名を残すものであることは間違いない。
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